”氷の世界” 井上陽水

私が邦楽をほとんど聞かないということは、「洋楽好きのキカイ」の中でも述べている。全く聞かないのではない。聞くものもある。

このレコードと言うか、井上陽水と出会ったのは、今をさかのぼること40云年前のこと。私は当時、小学校低学年だった。私には、今でも敬愛する一つ年上の従兄がおり、よく彼の家に遊びに行っていたものだ。従兄の家には、立派なオーディオシステムがあり、彼はフォークソングを聞く人だった。小学生だけどね。かぐや姫、風、中村雅俊、そして、井上陽水….衝撃的だった。フォークソングと言うジャンルも初めて知ったし、「好きな音楽を、良い音で聞く」という趣味が存在することも初めて知った。

つまり、食べ物でいうと、「食べ物には味がある」ということを知って、初めて食べたものが「うなぎのかば焼き」だったようなものだ(うなぎは私にとっての、食べ物最上級です)。私が邦楽をあまり聞かない理由は、つまりそういうことなのだと思う。もちろん、陽水以外にも例外はあるが、邦楽のレコードはあまり増えない。

音楽をジャンル分けするということを否定するつもりもないが、陽水はフォークなのだろうか? あまりに斬新な歌詞は、洋楽でいうところの「プログレッシブロック」のそれに近い。あまりに自由、あまりに意味不明、そして時折楽しそうな陽水の音楽。語れば語るほどに、言葉が空洞化してしまうような感覚。つまり、語れないのだ。理解するには聞くしかない。

そんな陽水の傑作、”氷の世界”。1973年、陽水の3枚目のアルバムだ。ライナーを見ると、星勝、忌野清志郎、高中正義などのビッグネームが並んでいる。ホンモノのまわりにはホンモノが集まるのものだ。収録されている曲はどれも素晴らしく、星勝のアレンジも手伝い、独特の世界観を醸し出す。

「語るに落ちて」しまう前にやめておこう。ともかく、大好きなのである。


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