■カートリッジ■Aurex C-310M +「原音」交換針■

スタイラスの状態は悪くないように見えるのだが…

先日導入した、レコードプレーヤーX555ES。音は出るけどなんか変?原因を探るために、カートリッジを替えてみる。ヘッドシェルごと、数種類のカートリッジを出して来るも、どれも重すぎでゼロバランスが取れない。リニアトラッキングアームは支点の後ろのスペースが狭く重いウェイトが付けられないし、アーム長も短い。必然的に、軽いカートリッジとシェルしか受け付けないということになる。

数種類の組み合わせを試して、ようやく、軽いシェルが付いたパイオニアのカートリッジでゼロバランスが取れた。音を出すと、普通に元気な音が出てくる。やはり付属していた純正カートリッジ、XL-333Eは何かがおかしいみたいだ。原因究明は、後日の作業として、このプレーヤーに使うカートリッジを選定しよう。

カートリッジは、オーディオコンポーネントの中で、最も小さい。しかし、音に与える影響はプレーヤー本体に等しい。つまり、プレーヤーとカートリッジを複数持っていれば、たくさんの音の組み合わせを楽しむことができる。しかも、カートリッジは比較的安いものもあるので、節操なく集めてしまうのだ。

そんなカートリッジ群の中に、最近入手した変わったカートリッジがあるのを思い出した。それがこれ、AurexのMMカートリッジ、C-310だ。Aurexとは、東芝のオーディオブランドで、ノイズリダクションのadresを搭載したデッキ以外は、正直ぱっとしないメーカーだった。もちろん、カートリッジもノーチェックだったので、このカートリッジのことも知らなかった。昔のカタログを引っ張り出しても、このカートリッジの記載はない。

ではなぜ買ったのかというと、新品の「原音」針が付いていたからだ。この「原音」という交換針は、ナガオカ製の特殊な交換針である。窒化処理されたチタンカンチレバーと完全研磨の楕円針を組み合わせた交換針なのだが、少し前に別のカートリッジで使用したことがある。その時に、あまりの変わり様に驚いたのだ。一皮むけたかのような音の粒立ちとスピード感は、純正の針を軽々と凌駕した。しかし、私はそこそこプラシーボが効く人間。新品針は見た目もきれいなので、「気のせい」という可能性もある。

そして、このC-310は見た目がとても残念なカートリッジだ。紫色の分厚い唇のような先端を持ち、たいへんかっこ悪い。これでは、プラシーボも働かないであろう。しかしである、ものすごく音がいいのだ。個人の意見ですけどね。見た目の酷さを補っても余りある音を出してくる。

私は「ブサイク」と呼んでいる

そして、定位がいい。これは、リニアトラッキングアームの恩恵だろうが、左右はもとより、上下も奥行きもきっちり決まりる。ここ数年使ってきたプレーヤーの中でもダントツである。

しばらくはこのプレーヤーと不細工なカートリッジの組み合わせで、いろいろなレコードを聴いてみるとしよう。