古いバイクへの先行投資

私が複数所有するバイクの中で、唯一のアメリカンがこのビラーゴ400、今年で33年が経過した。新車から乗ってきた友人からの譲渡車両なので、ある程度の整備状況は把握している。 続きを読む



割れるトラブル

樹脂やガラス部品以外の金属部品が「割れる」トラブルというのは、あまりありません。修理の多い当店でも、数年に1回くらいです。スタータ関係の部品が多いですね。

写真はサベージ650のフライホイール。スタータに噛むリングギヤが欠け、ワンウェイのベアリングが割れています。「セルが回らなくなった」ということで入庫しました。厄介なのはギヤが欠けてしまうことで、欠けた破片を全て回収しなければ新しい部品を組めないのです。わずかは破片でも残してしまうと2次トラブルを引き起こすことになります。

こちらはギアそのものが、バックり割れた症例です。セローのクラッチバスケット根元のドライブギアです。たまにはセルではなく、キック始動しようと思ったら噛んでしまい、セル始動もできなくなった症例です。

こういったトラブルは、距離を走った車体に多い症状です。バイクのスタータ機構は、複雑なギアの噛み合わせと、ワンウェイクラッチにより構成されたものが多く見られます。距離を走ると、各ギアや軸受け部などが摩耗してガタが多くなることにより、破損や作動不良を起こすようです。

こういったトラブルは予防的な修理をすることはあまり現実的ではありません。そこそこの部品代と工賃のかかる作業ですので、「ちょっとおかしいな?」と思ったらすぐにバイクショップに相談した方が良いと思います。



古いバイクと付き合う

ゼッツー、ケッチにCBX、かつてバイク屋の裏に投げてあったようなバイクに高値が付くようになって、ずいぶん経ちました。その割に、街中でも、ツーリング先でも、きちんと手入れされていて、調子のよさそうな車体にはあまりお目にかかりません。ムクドリのようにやかましく群れて集団走行しているのは見かけますが、バイクが気の毒ですね。

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サービスマニュアルとパーツリストについて

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■この投稿は、以前別ブログに投稿した記事を転載したものです。■

「サービスマニュアルとパーツリストがあればバイクの整備は何でもできるんですよね?」
と聞かれることがあります。

残念ながら、答えはNoです。
サービスマニュアルはバイクの整備を生業とする人が、修理や整備の際、締め付けトルクや電装データなどを参考にする書籍であり、そのバイクに関する全てが書いてある書物ではありません。修理や整備の際にはきちんとした工具と設備、そのバイク用の特殊工具が必要なこともいうまでもないでしょう。
また、整備に関する勘所やコツの記述も一切ありません。あまり参考にならない、分解と組み立て方、サービスデータなどが延々書いてあるだけです。

パーツリストはその名の通り、バイクの各部を分解した図と部品名、部品番号及びその部分を組み立てた場合の整備時間(工数)が書いてある小冊子です。
メーカーによっては価格の記載があるものもありますが、ほぼ毎年値上がりするのであまり参考にはなりません。
パーツリストを使いこなすには現物と見比べたときに、その部品がリスト中のどの部品にあたるのか、どの部品が消耗部品で交換すべきなのか、がわからなければなりません。

つまり、サービスマニュアルとパーツリストはあくまで販売店向けの参考書であり、それがあれば何でもできる虎の巻ではないのです。

ただ、そのバイクを所有するステータスの一部として購入し、日ごろからよく目を通し、簡単な日常整備の指南書としてみれば、購入する価値はあると思います。



キャブレターの話 その3(レーシングキャブレター)

以下の記載は、バイク屋さんはわかっていても、お客さんには言わないグレーゾーンのお話。

MIKUNI FCR

MIKUNI FCR

キャブの話を始めたら、やはりこの話をしなければならないですね。FCRやTDMRなどのレーシングキャブレターのお話です。

そもそもレーシングキャブレターってどういうものでしょうか?ずばり、レース用のキャブレターってことです。そして必ず「公道使用不可」って書いてありますよね?何でそんなことが書いてあるんでしょうか? 続きを読む



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